障害年金の診断書に「傷病が治ったかどうか」を記載する欄があります。
精神の診断書は「⑥傷病が治った(症状が固定した状態を含む。)かどうか。」
それ以外の眼や肢体、呼吸器、循環器などの診断書は「⑦傷病が治った(症状が固定して治療の効果が期待できない状態を含む。)かどうか。」という欄になります。
【精神の障害用診断書】
【精神以外の診断書】
精神の診断書はどう書くのか分かりづらい?
精神以外の傷病用の診断書は、傷病が治っている場合には、治った日を記載する。傷病が治っていない場合には、症状がよくなる見込を記載する。ということが分かります。
精神の診断書も同様のことを記載してもらいたいために、この欄があると思うのですが、スペース不足のためなのか、他の傷病用の診断書と比べると省略されてしまっているようです。
なぜ診断書にこの欄があるのでしょうか?
国民年金・障害年金保険 障害認定基準(平成29年12月1日改正)に以下のように記載されています。
【障害認定日】
「障害認定日」とは、障害の程度の認定を行うべき日をいい、請求する傷病の初診日から起算して1年6月を経過した日又は1年6月以内にその傷病が治った場合においては、その治った日(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む。)をいう。
【傷病が治った場合】
「傷病が治った場合」とは、器質的欠損若しくは変形又は機能障害を残している場合は、医学的に傷病が治ったとき、又は、その症状が安定し、長期にわたってその疾病の固定性が認められ、医療効果が期待し得ない状態に至った場合をいう。
障害年金は、原則初診日から1年6カ月を経過した日の障害の程度を認定します(障害認定日請求の場合)。
ですが、初診日から1年6か月以内に、その傷病が治った場合や症状が良くも悪くもならない状態に至った場合は、その日の障害の程度を認定します。
そのため、この記載欄があるのです。
精神の診断書においては、医師もこの欄の記載の仕方に迷われることが多いようです。
例えば、気分(感情)障害は治ることはありますが、症状が固定する状態になる(良くも悪くもならない状態で安定する。治療の効果が期待できない状態となる。)ことはないと思います。
そうすると、この欄に年月日の箇所は記載せず、空欄か斜線を引くのが適切のように思えます。
診断書作成の留意事項
「障害基礎年金・障害厚生年金の診断書作成の留意事項」について日本年金機構のホームページで確認しました(2019年3月26日時点)。
【精神の障害】
貴院(診断書作成医療機関)の初診から診断書を作成する日までの間に傷病が治っていればその日を記載してください。また、傷病が治った日当日に貴院で直接診察した場合は「確認」に、傷病が治った日当日に貴院で直接診察していない場合には「推定」に、○印を付してください。
これによると、診断書作成医療機関の初診から診断書作成する日までの間に「治った」場合に、その年月日を記載するということのようです。
初診日から1年6カ月経過した日や知的障害のように20歳前傷病の場合は20歳の誕生日の前日を記載されていることもあります。
ですが、この日が診断書作成医療機関の初診から診断書作成する日までの間ではないケースも少なくないようです。この場合は「推定」に○印がついています。
「確認」と「推定」の違いも留意事項の記載内容から分かりますね。
他の傷病の「障害基礎年金・障害厚生年金の診断書作成の留意事項」についても見ておきます。
【眼の障害】
「傷病が治っている場合」は、初診日から1年6カ月以内に、治療を行っても回復の見込みがなく、その症状が変わらない状態となった場合、その日を記入してください。
【肢体の障害】
「傷病が治っている場合」は、初診日から1年6カ月以内において、離断・切断をした場合は離断・切断日、また、機能障害の場合は、いかなる治療を行っても回復の見込みがなく、その症状が変わらない状態となった日を記入してください。
「傷病が治っている」と判断した場合は、その理由を裏面の㉓欄に記入してください。
腕や脚の離断・切断の場合、回復の見込みは期待できません(元通り生えてくるわけではないので)。この場合、初診日から1年6カ月経過する前に障害認定日となる可能性がありますので、この欄は重要になります。